たんぱく質の働きと上手なとり方 ― 栄養素の働きと摂り方①

執筆:稲山 未来(管理栄養士)
今回は、私たちが食事からとっている栄養素について、その働きや手軽なとり方を学んでいきましょう。第1弾は「たんぱく質」です。
たんぱく質は三大栄養素のひとつ
三大栄養素とは、たんぱく質、糖質(炭水化物)、脂質のことをいいます。私たちの体をつくり、健康に生きるために重要な栄養素であり、運動をしたり考えごとをしたりするときのエネルギー源になるのが、この三大栄養素です。今回は、そのひとつであるたんぱく質について考えてみましょう。
たんぱく質の働き
たんぱく質は、主に体をつくる栄養素です。筋肉や皮膚、血液、髪の毛、内臓、爪、歯など、体を構成する材料になります。
口からとったたんぱく質は、まず体の中で「アミノ酸」という小さな単位に分解されます。アミノ酸は腸で吸収されて肝臓に運ばれ、再びたんぱく質に合成されて、筋肉などの各組織の材料として使われるのです。
アミノ酸の中には「必須アミノ酸」といって、体の中でつくり出すことができないため、必ず食べ物からとらなければならないものもあります。
では、たんぱく質が十分にとれないと、どのような弊害が起きるのでしょうか。
たんぱく質が不足すると、どうなる?
たんぱく質は、私たちの体をつくるための大切な材料です。不足すると筋肉がつきにくくなったり、皮膚の材料でもあるため、皮膚がカサカサしたり肌荒れを起こしやすくなったりします。
もともと食事量が少ない高齢者は、エネルギーそのものが不足しているため、それを補うために体のたんぱく質を分解してエネルギーをつくり出し、筋肉が減ってしまうこともあります。
筋肉量が低下すると、足元がふらついて転びやすくなります。高齢者は骨も弱くなっているため、転ぶと骨折するリスクもあります。いつまでも元気な体を保つためには、必要なたんぱく質をしっかりとることが大切なのです。
たんぱく質は、どうやってとればいい?
たんぱく質は、主に肉や魚、卵などの動物性の食品や、「畑の肉」といわれる大豆製品に多く含まれています。では、どのくらいの量を食べればよいのでしょうか。
分かりやすい目安は、1食あたり、自分の片手の手のひらにのる程度の量です。魚なら一切れ、肉ならハンバーグ1個程度、卵なら1個です。これが、1食でとりたいたんぱく質源の量です。1日3食なので、この3倍程度の量をとるように心がけましょう。
たとえば、次のような食事です。
朝:ご飯、みそ汁、納豆1パック、おひたし、果物
昼:オムライス、付け合わせ
夕:ご飯、みそ汁、焼き鮭、じゃがいもの煮物、酢の物
この場合、納豆、オムライスの卵と鶏肉、鮭がたんぱく質源です。このように、毎食の主菜になる部分にたんぱく質が多く含まれています。
たんぱく質がとりにくいときは?
高齢になると、料理がおっくうになることもありますね。そんなときは、なるべく簡単にたんぱく質を補える方法がおすすめです。
みそ汁に卵を落とす
とても簡単にたんぱく質がとれます。いつものみそ汁に卵を入れて、かきたま汁にしましょう。朝・昼にたんぱく質が十分にとれなかったときは、夕食のみそ汁に卵を入れるのもよいでしょう。
魚は缶詰を使う
さばの水煮缶やさんまのかば焼き缶などをアレンジすれば、面倒な魚の下処理をせずに料理ができます。さばの水煮缶は大根やいんげんなどの野菜と一緒に煮ればメインの1品になりますし、さんまのかば焼き缶は、くし切りにした玉ねぎと一緒に煮て卵でとじ、丼にするとおいしいです。缶詰は保存性もよく、備蓄用にも使えるので、ぜひ試してみましょう。
飲み物や食材をいろいろ試す
食が細くなり、食べ物から十分にとれないときは、ほかの方法も検討しましょう。飲み物では、牛乳や豆乳に多く含まれています。また、きな粉もたんぱく質が豊富なので、きな粉牛乳やきな粉ヨーグルトにすれば、手軽にたんぱく質を補給できます。
たんぱく質をとりすぎると、どうなる?
とりすぎたたんぱく質は、体の中で処理され、不要な分は尿と一緒に排泄されます。この作業は腎臓で行われるため、腎臓の機能が弱くなっている方がたんぱく質をとりすぎると、さらに腎臓に負担をかけてしまう場合があります。
腎不全の方や、腎臓の機能が低下していると言われた方は、特に注意が必要です。腎臓の機能の低下が進んだ場合は、負担を減らすために、たんぱく質の摂取量を減らしていく必要もあります。適切な摂取量は医師の診断にもとづいて決まるので、医師や管理栄養士に相談しましょう。
最後に
たんぱく質が体の中でどのような働きをしているか、お分かりいただけたでしょうか。筋肉量を維持して生き生きとした暮らしを続けるために、たんぱく質のとり方について、日々の食生活を振り返ってみましょう。
執筆者 稲山 未来(管理栄養士)
※本記事は、医療・介護の専門職による寄稿を当社編集部で再編集したものです。内容は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、症状や状況には個人差があります。具体的な判断は、かかりつけの医師・歯科医師・薬剤師などの専門職にご相談ください。




コメント