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パーキンソン病は「食べる」に障害を起こしやすい病気 ― 薬の飲み方と食事の工夫

執筆者の写真: 株式会社ネクスト 編集部
株式会社ネクスト 編集部
11 時間前
読了時間: 5分

執筆:増田 翼(看護師)

パーキンソン病は、脳の特定の部位でつくられる「ドーパミン」という神経伝達物質が減少することで、徐々に体の動きが悪くなっていく進行性の病気です。主な症状は次のとおりです。

  • 体の動きが硬くなる

  • 小刻みな歩き方になる

  • 手が震える

  • 転びやすくなる など

また、体の動きの変化とは別に、自律神経の障害もあらわれ、便秘や低血圧、うつ状態など、さまざまな変化が見られます。

パーキンソン病の治療

治療は、足りなくなったドーパミンを補う薬(抗パーキンソン病薬)を使うのが基本です。これによって体が動きやすくなり、症状を軽減することができます。

ただし、抗パーキンソン病薬の作用が強すぎると、体が勝手に動いてしまう(ジスキネジア)などの症状が出ることがあるため、医師の指示どおりに薬を使うことが大切です。

また、徐々に進行していく病気のため、完全に治すことはできません。症状の進行を薬で抑えながら、病気による生活の不自由を最小限にしていく必要があります。

病気の進行と「食べること」

はじめは、体の一部(片側の手、または足)が震えるなどの症状があらわれます。その後、同じ側の手足、反対側の手、反対側の足と、徐々に症状が進行していきます。

しだいに転ぶことが増え、車いすでの生活となり、最終的には寝たきりになることもあります。

また、パーキンソン病の方の死因の多くは、肺炎や窒息、栄養障害など、食べることに関係しています。そのため、パーキンソン病の方が今ある障害と上手に付き合いながら生活していくためには、安全に食事を楽しむことが重要になってきます。

見た目の不自由さと、食べる機能は一致しない

パーキンソン病による食べる機能の障害は、こうした病気の進行とは関係なくあらわれることもあります。歩くことには問題がなく、一見自立した生活を送っているような方でも、食べる機能は大きく障害されていることがあります。

反対に、寝たきりになっていても、問題なく口から食事ができている方もいらっしゃいます。見た目の不自由さにまどわされず、食べることができるかどうか、専門家に評価してもらうことが大切です。

パーキンソン病で起こる「食べる」の障害

手の震えや筋肉のこわばりによって、食べ物を口まで運ぶのが難しくなり、介助が必要になることがあります。さらに、食事中に体が傾くなど、姿勢を保つことも難しくなります。

また、筋肉のこわばりは全身に起こるため、口の周りの筋肉や舌にもこわばりが生じると、固形物を噛むことに障害が出ます。そのため、口の中でぽろぽろとまとまりにくいものは食べにくく感じます。

のどの筋肉も同様に動きが悪くなるため、飲み込む力も低下します。すると、食べ物が本来の通り道である食道に入らず、気管に入ってしまう「誤嚥」が起こります。

健康な人であれば、気管に食べ物が入ると「むせる」ことで外に出そうとします。しかし、パーキンソン病の怖いところは、この「むせ」が起こりにくい方が多いことです。また、むせが起きてもその力が弱く、気管から食べ物を出しきれずに、誤嚥性肺炎を起こしてしまうことがあります。

安全に食べるための対策

薬の効果が出ている時間に食事をとる

対策としては、まずパーキンソン病の治療をしっかり行うことです。抗パーキンソン病薬には、飲み薬のほか、パッチ型の貼り薬などもあります。主治医と相談しながら、その方に合った薬を調整していきます。

また、パーキンソン病は、動けるときと動けないときの波がある病気でもあります。薬の効果が切れてドーパミンの量が低下している時間帯は、特に動きが悪くなります。そのため、食事の30分〜1時間前に抗パーキンソン病薬を飲んでおくと、食事の際に体を動かしやすくなります。

薬を飲む時間を変更する際は、必ず主治医をはじめ、看護師や薬剤師などの専門職と相談のうえで行ってください。さらに、睡眠不足や疲労によっても体を動かしにくく感じるため、十分な休息も大切です。

やわらかく、まとまりやすい食事に

病気の進行度にもよりますが、口から食べ物がこぼれたり、口の中に残ったりするようであれば、やわらかくまとまりやすい食事にするのがよいでしょう。噛まなくてもいいようにと食事を細かく刻むのは、かえって逆効果になるので注意してください。刻む場合は、上からあんをかけるとまとまりやすくなり、飲み込みもスムーズになります。

姿勢を支え、首や肩をほぐす

食事中に姿勢が崩れてしまう場合は、クッションやバスタオルなどで体を支えてあげましょう。

全身がこわばると首も硬くなり、常に下を向いた姿勢や上を向いた姿勢で固まってしまうことがあります。そうならないよう、普段から首や肩まわりのストレッチをしておくと予防になり、むせたときにもしっかり強くむせることができるようになります。

専門職と相談しながら、食べる楽しみを

パーキンソン病は徐々に体が硬くなっていく病気ですが、薬である程度コントロールすることができます。

私が普段関わっている患者さんに、90代の女性がいらっしゃいます。何年も前にパーキンソン病を発症して寝たきりになっていますが、今でも好きなものを食べ、人生を楽しんでいます。

専門職と相談しながら薬を調整し、口から食べることを楽しんでいただきたいと思います。

執筆者 増田 翼(看護師)

※本記事は、医療・介護の専門職による寄稿を当社編集部で再編集したものです。内容は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、症状や状況には個人差があります。具体的な判断は、かかりつけの医師・歯科医師・薬剤師などの専門職にご相談ください。

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