薬を飲んでいて「これって副作用?」と心配になったとき ― 副作用の種類と早く気づくコツ

執筆:齋藤 直裕(薬剤師)
薬をもらうとき、必ずといっていいほど「ここに注意してください」と副作用の説明を受けるのではないでしょうか。薬の説明書には注意事項として副作用がずらりと並んでいて、よく読んでいると怖くなってしまうこともあるかもしれません。
副作用とは、「狙っていない作用」「望んでいない作用」のことをいいます。実は、どんな薬にも副作用があります。そして、副作用があるからこそ、薬剤師という仕事があるのです。
1. 薬の作用が強く出すぎることによる副作用
薬が効きすぎることで、副作用が起こることがあります。たとえば、血圧を下げる薬を飲んだときに、薬が効きすぎて血圧が下がりすぎることがあります。
単純に薬の量が多かったり、一緒に飲んだ別の薬の影響で血圧の薬が効きすぎたり、食べ物と血圧の薬が互いに影響し合って、薬の効果が出すぎてしまうこともあります。
血圧の薬は、高い血圧を下げることで、心臓や腎臓など血管が集まっている臓器の負担を軽くし、大きな病気を予防するために飲むものです。しかし血圧が下がりすぎると、脳に送られる血液が少なくなり、だるくなったり、めまいを起こしたり、気を失ったりする可能性があります。
この場合は、「血圧を下げる」という薬の効果と、下がりすぎたときに出る症状を知っておくことで、早めに気づくことができるでしょう。
2. 別の症状があらわれる副作用
血圧を下げる薬の中には、血管を広げることで、血管の内側にかかる圧力を下げる働きをもつものがあります。
血管は、「平滑筋」という筋肉が伸び縮みするチューブのようなもので、血管が硬くなることでも血圧は高くなります。この平滑筋をゆるめて血圧を下げるのですが、たとえば腸を動かしているのも平滑筋なので、腸の動きまでゆるめてしまうことがあります。
腸の動きが悪くなると便が出にくくなる、つまり便秘になるという「狙っていない作用」「望んでいない作用」が出る可能性があります。
これは、もともと便秘がちな方に出やすい副作用といえるので、あらかじめ自分の体質を伝えておくことで予測できます。薬は特定の場所だけでなく、体全体に作用していることを忘れないようにしましょう。
3. アレルギー性の副作用
薬は化学物質でもあるため、体に入ってきた薬が異物と認識されることがあります。体に合わない場合には、じんましんが出たり、呼吸が苦しくなったりするアレルギー反応が起こることがあります。
アレルギー反応なので、薬に限らず、食べ物や健康食品、市販薬でも起こることがあります。また、薬の量の多い少ないに関係なく起こり、同じ薬を飲んでもアレルギー反応が出ない人もいれば、症状が重く出る人もいます。
薬を飲み始めて「あれ、おかしいな。いつもと違う」と感じたときは、すぐに服用を中止して相談するようにしてください。
4. 肝臓や腎臓に負担がかかる副作用
副作用には、まったく気づかない程度のものから、つらく重いものまでさまざまです。
たとえば痛み止めの中には、炎症(熱・痛み・腫れ)を抑えると同時に、血管を縮める作用をもつものがあります。血管が縮むと腎臓に流れ込む血液の量が減り、腎臓の働きを悪くしてしまうことがあります。
腎臓の働きが悪くなると、尿の量が減ったり、むくみが出たり、食欲が落ちたり、だるくなったりすることがあります。また、腎臓には尿をつくって不要なものを体の外に出す働きがあるため、その働きが悪くなると、体にとって良くないものが体に溜まってしまうこともあります。
そうなると、薬も体の外に出ていかずに体内に残り、「作用が強く出る」という悪循環を起こすこともあります。薬を定期的に長く飲んでいる方でも、なかなか気づけないことがあります。
大切なのは、定期的な受診(血液検査など)と、「いつもと違う」と感じたときにすぐ相談できる、普段の自分を知っている「かかりつけ薬剤師」をもつことです。
事例:胃薬の副作用で下痢が続いたケース
こんなことがありました。
1日2回、朝と夕の食後に1錠ずつ飲んでいた胃薬を、「2回飲むのが大変だから」と、1日1回でよいタイプの胃薬に変えた方がいらっしゃいました。
1週間ほど経ったころに下痢をしてしまい、「食あたりかな?」と、そのときは下痢止めを飲んで過ごしていました。もともと便秘症で、下剤を飲まないと便が出ない体質だったため、「おなかがすっきりして、ちょうどいい」くらいに考えていたそうです。
しかし、下痢止めをやめると下痢をするという状況を繰り返し、1か月、2か月とずっと下痢が続いたため、さすがにおかしいと病院で検査を受けました。
検査では異常はなく、診察で「何か変わったことはないか」と下痢が始まったころまでさかのぼって思い出してみると、胃薬の変更に行き当たりました。胃薬を元に戻すと、3日で下痢は治まり、普段どおりの状態に戻りました。原因は、変更した胃薬の副作用による下痢だったと考えられます。
ずいぶん長く下痢の副作用が続き、かなりつらい思いをされたことになります。ご本人も、まさか薬の副作用だとは思っていなかったそうです。
あらかじめ「下痢をすることがある」という情報や、「普段は便秘症である」という体質、新しい薬を飲み始めてからの変化などを共有できていれば、もっと早く副作用に気づき、対策をとるチャンスがあった――そう反省させられる例でした。
副作用は、早く気づくことができる
薬の一つひとつには、たくさんの人たちの使用経験が蓄積されており、出やすい副作用やそのときの状況などの情報は日々更新されています。実は、こうした副作用の事例を国に報告する役割が、薬剤師にはあります。国はそのデータを蓄積し、薬による治療の安全性を高めているのです。
薬を飲む前に、ご自身の体質などを伝えておくことで、出やすい副作用を防いだり、早めに気づいたりできることがあります。現在治療中の病気、食事の習慣や生活環境などを総合的に考えると、出やすい副作用が見えてきます。
副作用を怖がらずに安心して治療に向き合うためには、出るかもしれない副作用を知っておくこと、そして出やすい副作用を定期的に確認していくことが大切です。
執筆者 齋藤 直裕(薬剤師)
日本大学薬学部薬学科卒業。公認スポーツファーマシスト。在宅医療に積極的に取り組む訪問薬剤師(執筆時点)。
※本記事は、医療・介護の専門職による寄稿を当社編集部で再編集したものです。内容は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、症状や状況には個人差があります。具体的な判断は、かかりつけの医師・歯科医師・薬剤師などの専門職にご相談ください。




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