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食事中にむせるときの調理の工夫 ― 食べる機能に合わせた調理の方法(むせ込み編)

執筆者の写真: 株式会社ネクスト 編集部
株式会社ネクスト 編集部
11 時間前
読了時間: 6分

執筆:稲山 未来(管理栄養士)

今回は「食べる機能に合わせた調理の方法」のむせ込み編です。

家族と同じ食事をしているけれど、最近どうも食事中にむせることが増えてきた――そんな経験はありませんか。

むせるのは、気管に入りそうになった異物を空気と一緒に吐き出そうとする、体を守るための反応(生体防御反応)なので、それ自体が悪いわけではありません。しかし、食事中に頻繁にむせるのであれば、その食事の中に、飲み込むのが難しい「何か」が含まれているのかもしれません。その正体は何なのか、そしてその対策について考えていきましょう。

むせるのは、いけないこと?

はじめにもご説明したように、むせること自体は体を守る反応なので、悪いことではありません。「むせている=誤嚥している=誤嚥性肺炎になってしまう!」というわけでもないのです。

その証拠に、60代後半になる私の父は、おそらく40代のころから(もしかしたらもっと前から)食事中によくむせていますが、私の記憶の中で、父が熱を出したのは1度くらいしかありません。

それは、むせることで、異物が気管に入る直前でぎりぎり防げていること、そして健康で免疫力があるため、万が一肺に入ってしまっても大きな炎症にならないからです。

ただし、どんなときに、何にむせているのかをしっかり観察することで、どの機能が弱っているのかを知ることができます。原因がはっきりすれば、対策を立てることも可能です。ここからは、むせやすいものの種類に応じた対策をご説明します。

1. サラサラした水分にむせる

むせることが増えてくると、「飲み物にとろみを付けてください」と言われることがあります。水分はのどを流れるスピードが速いため、「ごっくん」のタイミングを合わせるのが難しく、のどの筋肉が落ちて「ごっくん」が遅くなった方は、水分の速さに間に合わなくなってしまうからです。

ここで考えてみましょう。飲み物にはとろみを付けますね。では、食べ物はどうでしょうか。実は、食べ物にも意外とサラサラの水分が含まれているのです。

噛むと出てくる「煮汁」に注意

高野豆腐を例にとってみましょう。高野豆腐はスポンジのようにおいしいだし汁を吸っていて、噛むとじゅわっと口の中に広がります。この広がっただし汁……サラサラではありませんか。

まだ飲み込もうとしていないタイミングで不意に水分があらわれるので、特にタイミングを合わせるのが難しいのです。

この場合は、調理中のだし汁に片栗粉でとろみを付けると改善します。じゅわっと口に広がるスピードをゆっくりにすることで、むせにくく、飲み込みやすくなるのです。

果汁の多い果物は、ひと口を小さく

このように、噛むと中から水分が出てくるものには注意が必要です。高野豆腐のほかに、新鮮な果物も同様です。スイカなども水分が多いので、噛むと果汁がたっぷり出てきますね。

しかし、果汁には高野豆腐のようにとろみを付けることはできないので、果物の場合は口に入れる大きさを調整しましょう。大きいまま口に入れると、噛んだときに出る果汁も多くなります。少量のほうが処理しやすいので、果汁でむせてしまう場合は、小さめにカットして食べるようにしましょう。

2. パラパラとまとまりにくいものでむせる

私たちは食べ物を噛んで飲み込むとき、噛んで細かくした食べ物を舌を使ってひとかたまりにし、それをのどへ送って「ごっくん」と飲み込んでいます。そのため、ひとかたまりにしにくいものは、「ごっくん」がしにくいのです。

分かりやすいのはクッキーです。マラソンをして口の中が乾いているときにパサパサのクッキーを食べると、健康な私たちでも飲み込みにくいことが想像できると思います。高齢になると唾液の分泌量が減るので、マラソンの後のような口の状態が普段の状態だと考えると分かりやすいでしょうか。

噛んでバラバラになったクッキーのかけらが口の中全体に広がり、飲み込んだつもりでも口のあちこちに残っている状態です。この散らばったかけらが、たとえば呼吸と一緒にのどのほうへ送り込まれると、そのまま気管に入りそうになってむせるのです。

クッキーは水分を含むとまとまりやすくなるので、おやつの前や途中に飲み物を飲むと改善されます。

パラパラした料理は「あん」でまとめる

口の中でパラパラするものは、クッキーだけではありません。たとえば、チャーハンはいかがでしょうか。パラパラだからこそおいしいのですが、クッキーと同じように、口の中でひとかたまりにまとめるのが難しい料理のひとつです。

それでもおいしいチャーハンが食べたいときは、あんかけチャーハンにしましょう。あんをかけることで、米粒がまとまりやすくなります。

3. ペラペラと薄いものにむせる

最後は、ペラペラとした食材です。何だと思いますか。正解は、のりやレタス、わかめなどです。

これらの薄い食材がむせやすいのは、薄いからこそのどに張り付きやすいためです。モグモグと噛んで細かくし、「ごっくん」と飲み込むとき、飲み込む力が弱いとすべてを飲み込みきれず、薄いかけらがのどに張り付いたままになってしまいます。そして、のどに違和感が残り、ゴホゴホとむせてしまうというわけです。

水分と交互に飲み込む「交互嚥下」

対策としておすすめしたいのが、のどに張り付いたものを「ごっくん」できるよう、水分と交互にとることです。これは「交互嚥下(こうごえんげ)」という方法で、飲み込みにくいものと飲み込みやすいものを交互に飲み込みます。

たとえば、わかめのかけらがのどに残っているとしましょう。その後にお茶やみそ汁など飲み込みやすいものを飲むと、わかめのかけらが水分と一緒に流れていき、のどがすっきりします。なお、水分でむせやすい方は、とろみを付けた飲み物やゼリーを使いましょう。

和え衣や食材選びでひと工夫

それでもむせることが続く場合は、調理の段階で少し工夫をしましょう。

レタスは、さっぱりとしたドレッシングよりも、マヨネーズや練りごまなどで和えると滑らかになり、まとまりやすくなるので飲み込みやすくなります。

また、板のりは張り付きやすいので、のりの佃煮に代える、わかめはつるっと食べやすいめかぶに代える、といった工夫もできます。

まとめ

むせやすく飲み込みにくいものは、「サラサラ」「パラパラ」「ペラペラ」です。これらの食材に気をつけながら、どのようなものが食べにくいのか、どうすれば食べやすくなるのかを考えてみましょう。

家族と同じ食事を安心しておいしく食べることは、心の健康にもつながります。ぜひ試してみてください。

執筆者 稲山 未来(管理栄養士)

※本記事は、医療・介護の専門職による寄稿を当社編集部で再編集したものです。内容は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、症状や状況には個人差があります。具体的な判断は、かかりつけの医師・歯科医師・薬剤師などの専門職にご相談ください。

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