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体に疲れを溜めないコツ ― 介護者の腰痛編

執筆者の写真: 株式会社ネクスト 編集部
株式会社ネクスト 編集部
11 時間前
読了時間: 4分

執筆:市川 塁(理学療法士)

腰痛に悩んでいる人は、全国で約2,800万人(人口の約4分の1)といわれています。職業別にみると、介護職を含む保健衛生業で、仕事が原因の腰痛が多く発生していることが厚生労働省の統計からも分かっています。

介護の仕事は腰への負担が大きく、実際に現場でも介護職の腰痛の訴えをよく耳にします。それどころか、膝の痛み、首や肩の不調、手首の痛みなど、腰以外の訴えも多く、介護の仕事がいかに体のさまざまな部位に大きな負担をかけているかを感じます。

この実態は、自宅で家族を介護している方にも当てはまります。訪問リハビリでご自宅にうかがうと、ご家族自身の腰痛や肩こり、膝の痛みについて相談されることがよくあります。

そこで今回は、自宅で介護をしている方が、腰に負担を溜めないための具体的なヒントをお伝えします。

介護の腰痛対策の現状

現在、介護業界では腰痛対策として、「ノーリフト」(抱え上げない介護)の考え方のもと、リフトなどの福祉機器やパワーアシストスーツを活用する対策が推奨されています。

しかし実際には、使い勝手や費用、環境などの面から、なかなか広まっていないのが現状です。在宅の現場では、なおさら広まりにくいでしょう。

また、腰に負担のかかりにくい移乗や介助の方法・手順についての教育も少しずつ進んではいますが、介護される方の状態は変化しやすく、環境もさまざまです。そのため、多くの方が自分のやりやすいやり方で介護を行っているのが現実です。

おすすめの腰痛対策 ―「疲労を溜めない」という考え方

では、介護の現場から腰痛をなくすのは無理なのでしょうか。

確かに、介護の現場で腰に負担がかかることは避けられません。車いすからベッドへの移乗介助、着替えや清拭の介助、ベッドから起こす、車いすを押す……。腰に負担がかかることばかりです。

そこで、現実的な腰痛対策として私がおすすめしているのが、「貯蓄疲労」という考え方です。ポイントは、「体に負担が溜まるから疲労が蓄積し、痛みにつながる」という点に着目していることです。つまり、腰への負担は避けられないものとして、その負担や疲労を溜めないようにするのです。

腰の疲労を溜めないよう、こまめに解消していくことが肝心です。介護の現場で腰への負担を考えると、腰を丸めた姿勢が多いことはご存じだと思います。つまり、腰には「丸まる方向への負担」が溜まっているのです。

この丸まる負担を解消する方法は、腰を反対の方向に反らす「腰反らしストレッチ体操」です。

立って行う「腰反らしストレッチ体操」

  1. 足を肩幅に開く

  2. 腰に手を当てる

  3. その手で腰を前に押すようにしながら

  4. 腰を反らしていく

コツは、目線を前に向け、息を吐きながら1回3秒程度で行うことです。膝を曲げないように注意しましょう。

いつ、どのくらい行う?

もうひとつのポイントは、いつ、どのくらい行うかです。1回3秒程度、1セット3〜5回を、介護の前後に行うことがポイントです。

1セット15秒程度なので、緊急時を除けば、現実的に続けられるのではないでしょうか。実際に私が指導させていただいたご家族の多くが実践してくださっています。

介護をしている方は、どんな場面で体に負担がかかるか、実感としてお分かりのはずです。ベッドから車いすへの移乗介助、食事の介助、着替えの手伝い、体を拭くとき……挙げればきりがありません。その前後に15秒程度、こまめに行い、腰への負担をその都度解消していきましょう。

寝る前に行う、横になっての腰反らしストレッチ

余裕があれば、夜寝る前に、一日の疲れを解消するために横になって行う腰反らしストレッチもおすすめです。

  1. 仰向けに寝る

  2. 腰の下に枕やクッションを入れる

  3. バンザイの姿勢をとる

  4. この姿勢で1分ほど深呼吸する

このように、介護の方法論だけで腰痛を解消しようとするのではなく、介護による体への負担のかかり方を理解し、負担や疲労を溜めないようにこまめにケアしていくことが大切であり、今日からすぐにできることだと考えます。

まとめ

介護による腰痛を防ぐには、介護によって体にかかる負担の種類を理解し、その負担を溜めないよう、こまめに解消する方法を知っておく必要があります。ポイントは次の2つです。

  • 介護による腰への負担の種類は「腰が丸まる方向の負担」

  • 解消する方法は「腰反らしストレッチ体操」を、介護の前後に15秒行うこと

ぜひ実践してみてください。介護をしている方の体の不調の悩みが、少しでも解消する手助けになれば幸いです。なお、痛みが強いときやしびれがあるときは無理をせず、医療機関に相談してください。

執筆者 市川 塁(理学療法士)

※本記事は、医療・介護の専門職による寄稿を当社編集部で再編集したものです。内容は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、症状や状況には個人差があります。具体的な判断は、かかりつけの医師・歯科医師・薬剤師などの専門職にご相談ください。

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