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ご遺体はどう変わる?早期の変化と「体温」「乾燥」が大切な理由 ― はじめてのエンジェルケア①

執筆者の写真: 株式会社ネクスト 編集部
株式会社ネクスト 編集部
2 日前
読了時間: 6分

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音声:VOICEVOX:九州そら

医療・介護の事業者向けに当社が行っている「エンゼルケア講習」の内容を、全3回の無料コラムで解説します。エンジェルケア(エンゼルケア)と聞くと、綿の入れ方などの技術を思い浮かべる方が多いかもしれません。この講習では技術の前に、ご遺体がどのように変化していくのか、そしてその変化に対して前もって何をしておくとよいのかを、葬儀・納棺の現場の視点からお伝えしています。

第1回は、亡くなった後に起こる早期の変化と、その中でも特に大切な「体温」と「乾燥」、そして変化が早いご遺体について扱います。ケアの手順を詳しく知りたい方は、連載「エンジェルケア実務研修(全8回)」もあわせてご覧ください。

技術の前に「ご遺体の知識」を

エンジェルケアは、亡くなった方の姿を整え、ご家族が穏やかにお別れの時間を過ごせるようにするためのケアです。ご遺体は、亡くなった直後から少しずつ変化していきます。どの変化が、いつ、どこから始まるのかを知っておくと、限られた時間の中で何を優先すればよいかを判断しやすくなります。

反対に、変化の仕組みを知らないまま手順だけを覚えていると、状況が違ったときに応用がききません。この連載では、次の3回に分けて、エンジェルケアの土台になる知識を整理します。

  • 第1回:ご遺体に起こる早期の変化と、「体温」「乾燥」が大切な理由

  • 第2回:死後硬直と口元の整え方、ご遺体の変化を抑える環境づくり

  • 第3回:ご遺体の冷やし方と、処置・着替え・顔剃り・メイクのポイント

亡くなった後に起こる早期の変化

亡くなった直後から現れる変化を「早期の変化(早期死体現象)」と呼びます。主なものは次の5つです。

  • 死斑:心臓が止まると、血液が重力に従って身体の下側にたまり、背中などが紫色になってくる

  • 死後硬直:筋肉が硬くなり、関節が動きにくくなる

  • 体温の低下:体温が少しずつ下がり、周りの温度に近づいていく

  • 乾燥:皮膚や唇、目から水分が失われていく

  • 角膜の混濁:時間がたつと黒目が濁り、眼の張り(眼圧)も下がっていく

このうち、死斑から乾燥までの4つは、看取りの場面で医療・介護の職員が目にすることの多い変化です。角膜の混濁は、もう少し時間がたってから目立ってきます。

講習で特に質問が多いのは死後硬直です(第2回で詳しく扱います)。ただ、ケアのうえで実はいちばん大切なのは、「体温の低下」と「乾燥」の2つです。

乾燥:ひげが「伸びる」のは皮膚が縮むから

「亡くなった後にひげが伸びる」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。実は、ひげが伸びたように見える要因の半分ほどは、皮膚が乾燥して縮むことにあるといわれています。皮膚が縮むことで、その下にあったひげが表に出てくるのです。

乾燥の影響は、ひげだけではありません。

  • 目:まぶたの皮膚が乾燥して縮み、目が閉じにくくなる

  • 口:死後硬直が始まる前なら口は閉じられるが、唇が乾燥して縮むと、唇が閉じにくくなる

亡くなる少し前から、食事はもちろん水分もとれなくなる方は少なくありません。つまり、亡くなる前の段階ですでに乾燥が進んでいることが多く、亡くなった後にさらに乾燥が進むと、こうした変化が目立ちやすくなります。早めの保湿が大切なのは、このためです。

体温:変化が早いご遺体に注意

体温が高いほど、ご遺体の変化は早く進みます。特に注意が必要なのが、亡くなる前に発熱していた方や、感染症にかかっていた方です。体の中に細菌が多い状態のため、変化がとても早く進みます。

ご遺体の変化は、細菌の多いところから始まります。一般に、最初に変化が始まるのはおなか(腹部)で、口のまわりも早い段階から変化します。納棺師が口の中をアルコールで丁寧に清潔にするのも、細菌をできるだけ減らすためです。また、ドライアイスでお体を冷やすときに、何よりも先におなかを冷やすのも同じ理由からです(冷やし方は第3回で紹介します)。

変化が早く進みやすく、特に注意したいご遺体は次のとおりです。

  • 発熱していたご遺体・感染症のご遺体:体の中の細菌が多く、変化が早い

  • 敗血症を伴うご遺体:細菌感染が激しく、特に注意が必要

  • 窒息で亡くなったご遺体:変化が早く進みやすい

  • 急な病気で亡くなったご遺体:若い方などが急に亡くなった場合、体の栄養状態がよいため細菌が繁殖しやすく、変化が早い

色の変化は、始まると止められない

あまり知られていませんが、肌の色の変化は、いったん始まってしまうと止めることがほぼできません。止めるにはお体を完全に冷凍するしかありませんが、完全に冷凍できる安置設備を持つ葬儀社は、今のところほとんどありません。

だからこそ、変化が始まる前の初期の対応が大切です。室温を下げる、保温器具を止める、早めに冷やす、早めに保湿する。こうした最初の対応が、お別れまでのお姿を左右します。具体的な環境づくりは第2回、冷やし方は第3回で扱います。

第1回のポイント

  • エンジェルケアは、技術の前に「ご遺体がどう変化するか」という知識が土台になる

  • 早期の変化は、死斑・死後硬直・体温の低下・乾燥・角膜の混濁。ケアでいちばん大切なのは「体温」と「乾燥」

  • 乾燥で皮膚が縮むと、ひげが伸びたように見えたり、目や唇が閉じにくくなったりする。亡くなる前から乾燥が進んでいる方が多い

  • 発熱・感染症・敗血症・窒息・急な病気のご遺体は変化が早い。変化はおなかと口のまわりから始まりやすい

  • 色の変化は始まると止められない。だからこそ初期の対応が大切

次回(第2回)は、質問の多い死後硬直と口元の整え方、そしてご遺体の変化を抑えるための環境づくりを取り上げます。

はじめてのエンジェルケア(全3回)

あわせて読みたい:エンジェルケア実務研修(全8回)

シリーズ全体は、マガジン「エンジェルケア実務研修(全11回)」からまとめてお読みいただけます。

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この記事は、noteの無料連載「はじめてのエンジェルケア(全3回)」でも公開しています(noteで読む)。noteでは、実務研修とあわせてマガジン「エンジェルケア実務研修(全11回)」にまとめています。

※本記事は、株式会社ネクストの「エンゼルケア講習」の内容をもとに、一般的な考え方をまとめたものです。実際のケアは、医師の指示、施設の手順書、最新の法令や行政の指針に従ってください。研修のご依頼・ご相談は、お問い合わせフォームからお寄せください。

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